あさイチ・海保P×ミヤネ屋・村上P 朝・昼情報番組 生放送の舞台裏

連続テレビ小説(朝ドラ)の後の生放送の情報番組として放送中の「あさイチ」(NHK総合、毎週月~金曜午前8時15分)と午後の生放送のワイドショーとして全国系で唯一放送している「情報ライブ ミヤネ屋」(読売テレビ・日本テレビ系、毎週月~金曜午後1時55分)。朝と昼と時間帯は異なるが、「あさイチ」は人気グループ「V6」の井ノ原快彦さんと有働由美子アナウンサーの絶妙なバランス、「ミヤネ屋」はフリーアナウンサーの宮根誠司さんの軽妙なトークと司会者の際立つ個性と一歩踏み込んだ特集など共通点は多い。「あさイチ」の海保香織チーフプロデューサーと「ミヤネ屋」の村上高明チーフプロデューサーが、お互いの番組に対して意識していることや現場の進め方など大いに語り合った。

 

◇朝から踏み込んだテーマに挑戦

 

お互いの番組の印象は?

 村上さん:こんな発言をした後、急落すると怖いのですが、2番組とも本当絶好調なんでね(笑い)。うちのスタッフ、結構「あさイチ」の画面にくいついてますよ(笑い)。

 海保さん:仕事してる横で24時間テレビがついてるので、「ミヤネ屋」さんを見てるんですけど、熱い番組だなという印象です。どの企画でも(出演者が)立ってて、座ってるときなんてあるんですか?

 村上さん:MCの二人は立ちっぱなしですね。コメンテーターは座ってますけど。

 海保さん:スタジオの構造は把握してますので(笑い)。

 村上さん:「あさイチ」は女性目線というのが、分かりやすくとらえられているので、本当に参考にさせていただいてます。

 海保さん:うちは40代女性を対象の中心に据えていますが、「ミヤネ屋」さんも同じ年齢層を意識していますか?

 村上さん:うちのほうが年齢層は少し高めもターゲットに設定していますね。
 

具体的にお互いの番組のどこを参考にしていますか?

 村上さん:ネタそのものですね。一番びっくりしたのはセックスレス夫婦のネタを朝にされてるのを見たときに、何かやれそうだけどやらなさそうなことをやっているところに、同じにおいを感じて。というのも「ミヤネ屋」は民放ってこともあって、実はやれても多方面に気を使うことが多くてやらないということもある。タブーに挑戦ということではないんですが、ちょっと踏み込もうというテーマを「あさイチ」でやっていたときに、「やっぱりそうだよね、やっちゃダメって誰も決めてないのに・・・」って。それで今回の(対談の)お話をいただいたので、勝手ながらそれをジャッジされた海保さんに会えるんだなと、自分の中でつながっていました。

 海保さん:うまいですね、関西の方の話術は!(笑い)
 

「ミヤネ屋」は王道のワイドショーですが海保さんはどう思いますか。

 海保さん:ワイドショーは、やってみたくてもやれない。そもそもNHKにはワイドショーというカテゴリーがないので、芸能ネタとか取材の仕方が分からないし、お店の情報は看板が出せないし、みんなが見たいワイドショーっていうのはできない。「ミヤネ屋」さんがすごいと思うのは、やろうと思えば3分でもやれるニュースを話術で持っていく見せ方ができるところ。「ミヤネ屋」さんがお店の情報ばかりやっているかというとそうでなくて、同じネタを扱っていても普通3分で終わるネタを50分かけて見せる話術を演出としてるんだなっていう。ワイドショーって定義がないんだなと思う。

 村上さん:何かをカテゴライズされたこともないし、僕ら報道局と言いながら有名人の色恋ざたで2時間使う日もある。従来のニュースとか、芸能やスポーツ、便宜上のカテゴリーをとっぱらうということだけ決めてます。あとは多分、今日はこんな感じがいいんちゃう?という自由闊達(かったつ)な空気を作って、たまたま政治だったり、外交だったり、生活情報だったりをその日に放送する。今日はママ友トラブルで、一昨日は錦織圭選手、全米オープン決勝進出おめでとうっていうのを2時間やったり。ワイドショーという枠組みはあまり感じてないんです。

 海保さん:錦織選手はうちでもこれはできたなと思いながら見ていました。こういうふうにやればいいのか、見せ方がうまいなと。テーマは毎日、ディレクターが考えてるんですか?

 村上さん:うちは5曜日あるので5班に分かれていて、だいたい曜日班のデスクや専従チームがこんなのやろうかな、と考えている。途中でどんどん平気で変わりますけどね。
 

◇ぶっつけ本番がトレーニングに

 

それぞれの番組の制作人数は何人くらいですか?

 村上さん:制作人は東阪全員で120人くらいですかね。

 海保さん:うちも全部いれて100人くらいです。ところで、宮根さんって怖いんですか?

 村上さん:プライベートはテレビの前とは違うんです。もの静かで少し人見知りな方かな(笑い)。テレビという世界に入った瞬間、カメラがあると、ご覧のとおりです。

 海保さん:ADさんが宮根さんに怒られたりとかは?

 村上さん:ネットで少し書かれたんですけど、あれも全部計算された上でしょうね。

 海保さん:頭のいい方なんですね。

 村上さん:非常に頭のいい方ですね。彼に頼ってる部分も多いんですけど、きっちり作ったとしてもそのように進まないときも多いので、あとは彼のそのときどきのコメンテーターとのやり取りとか、用意してる項目をどんどん飛ばしたりとか。項目立てもするんですけど、結構、本番中にいろんなことが起きるので、平気で変えなくちゃいけない。パネルとかを必死で作ってもお蔵入りとか。

 海保さん:パネルが最後までいかないこともありますよね(笑い)。

 村上さん:そうですね。宮根さんが途中で「もうこんなんええんちゃうん!」とか言いながら勝手にめくったり(笑い)。最後までいかないときもありますね。

 海保さん:その判断は村上さんがするんですか?

 村上さん:僕まで上がってくるのは災害とか事件とか何か大きな事案が入ってきたときですかね。僕の少し下の人間が、ほとんど全部やってくれています。そのときにすぐやらなきゃいけないというものが入ってきたときとか、放送中にあれこれやってますね。

 海保さん:なかなか柔軟に対応するのって難しいですよね。

 村上さん:僕らも元々そのスキルがあったのかというとそうではなくて、ぶっつけ本番がトレーニングになっているというか。
 

「あさイチ」も生放送ですが「ミヤネ屋」と雰囲気は違いますか?

 海保さん:そうですね。放送しながらこれを抜かしてとかは、災害とかよっぽどのことがないと基本的にはないですね。自分がそんな状況に置かれたら気絶しちゃう(笑い)。

 村上さん:いえいえ大丈夫ですよ!

 

NHKは段取り重視?

 海保さん:たぶん「ミヤネ屋」さんも同じだと思うんですけど、スタジオの台本は構成や流れまでで、一字一句までは書かない。どうせその通りにならないので(笑い)。

 

「ミヤネ屋」も事前準備には力を入れてるんですか?

 村上さん:実は準備はしっかりしている。だから(企画を)飛ばすときはディレクターの顔が一瞬浮かびますけど、ごめんなって思いながら飛ばします。その夜、そのディレクターの慰労の宴をやってるっていう(笑い)。

 海保さん:準備は絶対されてると思う。以前に「ミヤネ屋」さんで桜の開花の中継をしていて、偶然を装ってるんですけど、その(開花宣言する)桜の下でコメントを待ってるんですよ(笑い)。

 村上さん:あれは準備というか、しっかりとスタッフが取材出来ていたんだということなんでしょうね。

 海保さん:中継とか場所(コーナー)は作るけど、詰めすぎないように見せるのが絶妙という印象ですよね。

 

海保さん、「ミヤネ屋」をよく見てますね。

 海保さん:本当に24時間テレビがついてるので。「ミヤネ屋」さんは何か起こりそうで見ちゃうんですよね。ツッコみながら楽しく見ています。

 

◇「あさイチ」MCは“やんちゃな姉を支える賢い弟”

 

「ミヤネ屋」は気象ネタに強い印象です。

 村上さん:たくさんの方に見てもらってる分、批判はたくさんいただくんです。反省するときももちろんあるんですけど、お天気って特に気になるときってあるんですよね。うちはカテゴリーがないので、視聴者にとっては今日はそれが(お天気が)気になってるんだろうなと。そういうときに違うネタをやってるほうがストレスになるんじゃないかと。

 海保さん:尺(時間)キープはどなたがされてるんですか?

 村上さん:もちろんタイムキーパーさんが毎回ややキレながら(笑い)、どんどん後ろを落としていくんですよね。たまに放送中に、どうしても次に行ってほしいとかあるんですよ。宮根さんがのトークがいい感じで流れていても、番組的にどうしても次に行ってほしいというときもあって、せめぎ合うんだけど、強引にジングル鳴らして次の項目に変えてとか。

 海保さん:生放送でバトル感満載ですね!
 

「あさイチ」では、キャスターの有働アナと井ノ原さんのせめぎ合いは?

 海保さん:ないですね。立ち位置的に“やんちゃな姉を支える賢い弟”という感じなんですよ。
 

「ミヤネ屋」は宮根さんのピン番組で、「あさイチ」はコンビの番組という印象です。

 村上さん:そうですね。一般視聴者として、プラス仕事の目線から見て、有働さんってサバサバしていて、井ノ原さんの方がおばちゃん的な感覚を持っている。バランスがいいのかな。

 海保さん:そういう面もあります。有働さんがオヤジっぽいところがあって、井ノ原さんは細やかなんですよ。お互いにないものを補い合うのが習性になっていて、そこは本当にすごいなと。宮根さんは一人で怒ったり、仕切ったり、話したりしてますね。

 村上さん:そうですね。“宮根ショー”みたいなノリはありますよね。
 

視聴者のつかみ方にもそれぞれのスタイルがありそうですね。

 海保さん:でも、どこかツッコミどころが多いというのは似ているのかなと思う。ツッコまれるっていうのは悪いとは思ってなくて。

 村上さん:それは一緒ですね。期待感というか、視聴者から何か呼びかけられることの余白を持っておかないと。歌い上げるような(まとまった)番組作りをすると、どんどんテレビ離れしていく感じがしていて。

 海保さん:それは本当にやらないほうがいい。

 村上さん:なんでそんな斜め上からやってるの?っていう番組は意外に多くて、それを見ると自分も、初心を忘れてないかなと振り返って思いますね。

 

◇「ミヤネ屋」は半歩だけ東京に土足で踏み込む感覚

 

「ミヤネ屋」は従来のワイドショーと違う視点を意識してますか?

 村上さん:東京と大阪ということでは、大阪から「やって来てる感」というのは確かに出ているんですが、“東京版”という発想ではないんです。関東の方が見ていて気持ちいいか、どうすれば逃げられないかっていうことを考えています。今やっているのは半歩だけ東京に土足で踏みこませていただくというか。「関西が作ってるから」ということをもってして、関東や全国の方々にすっきりさせたい。「宮根さんやもんな、阪神好きな人がやってるんやもんな、ならしゃあないな」というところを意識してやってますね。ちょっと斜め上から関西方面を見たときに、全国の人は気持ちよくなれるのかなぁと思うんです。

 海保さん:「大阪やもんな!」というのは具体的には?

 村上さん:例えばここまで取材する?とか、これ言いすぎなんちゃう?というところを演出するとして、そこで嫌われてしまったら見てくれないので「ニコッ」とほほ笑んでくれるようなラインを模索しながらやってる。

 海保さん:ああ、面白いですね。

 村上さん:それは、東京に転勤していた頃に一般の生活で感じることでもあったんです。

 海保さん:それが大阪人の武器なんですね。

 村上さん:決して大阪が東京を食うわけじゃなくて、「もう、大阪ノリは! ホントしょうがないねぇ・・・」って言われるようなやつにならなくてはと思ったんです。

 海保さん:ちょっとやんちゃでも許される?

 村上さん:本当のやんちゃだと多分嫌われちゃう。だから大阪は嫌なんだよと嫌われることにはなりたくない。そこはまだ決して完成形じゃなくて、やってる最中ですね。

情報番組の作り方談義で盛り上がる海保さん(左)と村上さん
情報番組の作り方談義で盛り上がる海保さん(左)と村上さん

 

◇立場が入れ替わったら…

 

NHKの情報番組に対する村上さんの見方は?

 村上さん:「あさイチ」まではNHKと情報系の番組っていう単語をつなげて感じたことはなかったので、初めての出会いかもしれない。入り込みやすいというか、こっちの気合を不要とする番組。それはいいことで「あさイチ」はスッと見られる。そこが強みなんだろうなと。

 海保さん:気合ですか! 気合を入れないと見られないテレビばかりってのはちょっとね~。忘れらないワードになりました(笑い)。
 

お互い帯番組ですが、共通してるとこは?

 海保さん:今お話をうかがっていて、ディレクターさんとのやりとりは共通してるなと。

 村上さん:金曜の放送が終わるとホッとしません?

 海保さん:すごくホッとします!

 村上さん:金曜はどんちゃん騒ぎですもんね。

 海保さん:うちは曜日編成なので、月曜に担当があったりすると金曜日はつらい。あとは大っぴらに飲みいくぞ~みたいなのがなくて、なんかこそっと行く人だけ行く(笑い)。そこは大阪っぽいお祭りな感じがして、ちょっと見習おうかなと。
 

立場が入れ替わったら何をやりたいと思いますか?

 海保さん:大パネルを作るところを見たい! いつも気になるんですよ。すごく時間をかけて考えていると思うので、チラチラ移る文字が妙に気になっちゃう。

 村上さん:朝8時台でしょ? 幼稚園のお見送りのママたちを中継にしたいな。日常そのものが電波に乗るとどんな感じなのかなと。朝8時台だと事件事故の確率も少ないし、通勤などを扱いたくなります。くせでしょうね。なるべくライブにしたいという感じ。
 

取り扱うネタ的には?

 海保さん:錦織選手のネタはうちでもできたなって思ったり。あと大ニュースじゃなくても長く見せる術を持ってる番組を見ちゃうと気になる。

 村上さん:東京地裁から延々中継とか・・・(笑い)。

 海保さん:あとリポーターさんが手書きで情報を貼っていたり。あの見せ方が普通ならもたないだろうなと思うんですが。

 村上さん:危険だからこそ(コメンテーターに)住田(裕子)弁護士をはじめとする専門家に座って頂いてよろしくお願いしまーすって感じで。

 海保さん:井ノ原さんに言われるのは民放とNHKの収録の仕方が全然違うらしく、「民放では、収録前ディレクターが楽屋まで乗り込んできて、どんどん話す」と。だから突然立場が入れ替わったらすごく話す人来たなって思うかも(笑い)。

 村上さん:有働さんとか井ノ原さんとご一緒できたら感激ですけどね。

 海保さん:じゃあ1回、交換企画を……(笑い)。
 

最後にお互いにエール交換を。

 村上さん:裏番組だったら壊れていったらいいなと(笑い)。エールを送らなくても大成功してはる番組なので、お互い地上波っていうことでいうと、朝ドラがあって「あさイチ」があるという流れは、他局ながら壊れてほしくないなっていうのが本音で・・・。なんともいえない日本人らしさがNHKの朝8時台にある。その流れが1日でも長く編成されることが平和の象徴にもなりえるのかな。あの時間帯に一人でも多くの日本人がテレビをつけておいてほしくて。

 海保さん:(ミヤネ屋は)本当に独走中なので私からは……。私たちは朝ドラからの流れをもらって(視聴率のグラフの)すべる落ちる角度の山をどれだけ上に上げられるかという世界。「ミヤネ屋」さんの自分のところで上げて、自分で返すグラフのあり方とは違うので、学ばなければと思います。あと大阪ということをハンディではなく武器に使ってることが分かったので、「いい人にならないで」と思います(笑い)。一視聴者としては洗練された番組になりすぎないで、ツッコミのできる、やんちゃなところがある番組でいてほしいし、それはまねしたいですね。

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