フジテレビ「ホンマでっか!?TV」「アウト×デラックス」「ミレニアムズ」亀高美智子チーフプロデューサー 楽しむ感覚が一番大事(G-press)

「ダウンタウンのごっつええ感じ」から、「SMAP✕SMAP」「ホンマでっか!?TV」と、フジテレビの王道バラエティーを作り続けている亀高美智子チーフプロデューサー。過酷な制作の現場で、中学生と小学生の2児を育てる“ママプロデューサー”でもある亀高さんに、人気バラエティーを生む秘密と、業界の生き抜き方を聞いた。

テレビ人を目指したのは?

 テレビが大好きで、見るのが大好きだったので、作ってみたいなと思って。岡山県倉敷市から、大学進学で上京してきて、一人暮らしだと友達がいないので、テレビが友達みたいな感じで、夜な夜なバイトから帰ったらテレビを見てはぶつぶつしゃべる、そういう生活でした。バラエティーもドラマもいろいろ見ていましたよ。とにかくテレビがついていることで安心感がありましたね。

どんな大学生活だったのですか?

 文章を書くのが好きで、雑誌記者みたいなバイトをしていました。ただ食べていくために、いろんなバイトをしました。給料がいいので工事現場の交通整理をやったり、被服学科だったので洋服屋さんで店員やってみたり、すごく楽しかったです。大学生活を一言でいうとバイト、あとは学祭やサークルでの飲み会。いやぁ、楽しかったですね。お金は飲み代で出て行っちゃって、栄養失調になって運ばれたこともあります(笑い)。そのときに仲良くなった人とは今でも仲が良くて、仕事の上でその人脈がすごく役に立ってます。いろんな人と飲んでいて良かったと(笑い)。

—入社後はバラエティー一筋ですね。

 一年間研修して配属が「ダウンタウンのごっつええ感じ」でした。当時、女性のADはいなかったので、小松純也ディレクター(当時)が「人前で絶対泣かないでくれ、約束しろ」と言われて、分かりましたと答えて、すっと泣いていないです。あまりしんどくなかったですね。月の半分くらい、寝袋持って行って、新聞紙を敷いて寝ていたけど、ぜんぜん苦じゃなくて。番組に関わって、毎週、毎週、どんどん新しいものを作っていくのがすごく楽しかったです。いろんなジャンルを一気にやっていく総合バラエティーでは、エンディングでカラオケやるって言ったら歌もやりますし。企画も、コントも、ロケもあって、毎日楽しくて、だから続いたんでしょうね。約4年ADをやって、さあディレクターになるぞ、という時に番組が終わりました。

「ごっつええ感じ」のAD時代に学んだことは?

 できないことはないということを学びました。例えば、「一週間後に、野球場でプロレスやりたい」というアイデアが出ると、そこから野球場を押さえるんですが、美術セットを立て込むのに2日かかります。その条件で野球場を探すんですが、やろうと思えばできちゃうんです。夜中にコント収録をやっていて、「頭の上にウグイスを乗せたい」と現場で突然言われれば、頭の上だから、カチューシャの上に鳥を乗せればいいということで、まずカチューシャをメークさんに用意してもらって。鳥もどっかにいるはずだと、社内を探し回ったら、デスクの上に鳥のフィギュアを飾っている人がいて、見たら茶色の鳥。緑じゃないとウグイスじゃないということで、美術さんに塗ってもらって、頭にきれいなウグイスが乗って、みんなでガッツポーズです。一つのコントのネタに、自分が工夫したものが入っていって、面白いネタが生まれていくというのが、非常にやりがいがありました。帰れなくても全然平気でしたね。

 「ごっつええ感じ」が終わって、「一人ごっつ」でディレクター・デビューしました。「ごっつチーム」が「ひとりごっつ」になって、あんまり変わらないけれど、少人数でスライドしたので責任は重大になったんです。編集室にも入るようになって、スーパーの色から、書体から、画の作り方から全部自分でできてしまうので、編集室での仕上げがまた楽しくて。編集室は「お前の家か!」というくらいいました(笑い)。

企画はどう考えるんですか?

 企画会議では、8割は作家さんと無駄話するんですね。「最近あんなことがあってさ」なんていう話を。それで、残り2割で企画を考えるんですが、8割の無駄話の中にヒントがいっぱいあるんです。企画を考えましょう、というところからはあまり始まらないんです。

インプットは?

 いろいろなものを見に行きますが、企画のためというよりも、自分が楽しいから見に行っているだけですね。映画や本は興味があるので、すごく見ます。子供のPTAにも行きます。家庭を守っている主婦の方には、なかなかお会いできないじゃないですか。いろんな人と話した方が実は面白い。中学二年の娘の友達も頻繁に家に呼んで、「最近何見ているの?」とか「何が好き?誰が好き?」とか、しっかりリサーチしています(笑い)。ネットをすごく見ているし、私の中学時代と時代は変わったな、と思いますね。

ネットは気になりますか。

 娘にYouTubeで「あれ、面白いよ」とか言われたりします。HIKAKINもテレビに出てくるずいぶん前からうちの息子は見ていましたね。子供から聞くことは多いです。くだらないことをすごいテンション高くやってるので面白いんでしょうね。でも、こちらはテレビ作っているので、面白くていいものを仕上げるのが一番、と思って、意識はあまりしないです。

結婚、出産で制作に影響ありましたか?

 子供と見ていて、説明しづらいものは、なるべく言い回しを変えるようになりました。結婚しても、旦那と一緒にいる時間はほとんどなかったんですが、子供が生まれてから変わりましたね。現場に連れてくることも多々ありました。育児という経験は私の中に蓄積されているので、画面に出ているかもしれないです。自分では分からないんですが、周りには演出方法が全然違うと言われます。ディレクターで歌を撮影したとき、私がカット割りをして撮ると、男性ディレクターとは全然違うものを撮る、と言われます。(歌い手の)表情や色気、動作などのとらえ方が違うんですかね。演出している時はぜんぜん気がつきませんでしたが、女性の感覚ってそうなのね、と周りから言われました。

ほかの女性陣は?

 「ホンマでっか!?TV」は、私を入れて5人が女性プロデューサーで、演出は男性です。感じ方が男脳と女脳で違うので、「男だとどう感じる?女だとどう感じる?」と聞きます。ゲストも女性陣、男性陣がいるので、そのバランスがうまく入っているのかな、と思います。

最初、ダウンタウンさんや明石家さんまさんなど、大御所とたくさんお仕事されています。大物と向き合うってどうなんですか?

 懐に飛び込んでいる感じではないでしょうか。青春時代に「ヤンタン(MBSヤングタウン土曜日)」のファンで、さんまさんと結婚しようと思っていたぐらいファンだったんです。そんな方々とお仕事していると思うと夢のようです。

現場で心がけていることは?

 大きな声を出すことです。亀高組の鉄則。全部で撮影現場には100人ぐらいいるんですが、制作がコソコソしているとどんどん陰気になっちゃうので、面白いものも面白くなくなっちゃう。とにかく大きな声を出すことですね。現場をが盛り上がると、技術さん、美術さんも「面白かった」「イマイチだった」とか話してくれます。みんなで楽しむ感覚が番組は一番大事。それが一番視聴者に伝わるということだと思います。企画って、100人いたら100通りの面白さの感じ方があるから、とにかくみんなが楽しそうにやっていることが大事なんです。

現在は「ミレニアムズ」も担当されていますね。

 演者さんにものすごく力があります。トークの掛け合いがすごい。漫才師の特性かもしれません。それぞれに仕上がっている漫才師が9人もいて、良い個性を持っているので、いろんな組み合わせでいろんなことをチャレンジしていきたいですね。またひと味違う総合バラエティーが作れるのではないかと思っています。

次なる野望は?

 新しい人を発掘したいです。「アウト×デラックス」とか、「ホンマでっか!?TV」の先生たちもそうなんですが、また違うジャンルで発掘できればいいな、と思います。芸能界の中にも宝はまだ眠っているはず。そういう人たちにより出てきてもらって、新番組として反映させていけると面白いと思います。

これからテレビの世界を目指す方に必要な資質は?

 とにかく遊ぶことですかね。遊ぶことのような気がします。大学生の方々に話をさせてもらったりすることがありますが、とにかく残り少ない大学生活を満喫してから入ってきた方が引き出しは増えますよと言っています。ただ肝臓は大切にしないとね(笑い)。遊んでいろんなこと面白がっている人が一番合う職種のような気がします。

聞き手・構成 猪狩 淳一
文・写真 堀部 友里

プロフィル

かめたか・みちこ フジテレビ編成制作局バラエティ制作センター、ゼネラルプロデューサー。1993年フジテレビ入社、「ダウンタウンのごっつええ感じ」でADを務め、「SMAP✕SMAP」の総合演出を経て、プロデューサーとなる。現在のチーフ・プロデュース番組は「ホンマでっか!?TV」「アウト×デラックス」「ミレニアムズ」「前略、月の上から。」「ペケ×ポン」ほか。中学2年生と小学4年生の2児の母でもある。

インタラクティブ・プログラム・ガイド(IPG)のG-pressより
※この記事は下記メディアに掲載されました。
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