フジ・亀高P×テレ東・工藤P 旦那のお陰? テレビ界を生き抜く「ママP」の本音

 「ホンマでっか!?TV」や「アウト×デラックス」など数々の人気バラエティーを手がけるフジテレビの亀高美智子チーフプロデューサーと、いま注目のテレビ東京で「アラサーちゃん 無修正」「昼めし旅〜あなたのご飯見せてください〜」など話題のバラエティーを担当する工藤里紗プロデューサー。いずれも制作で“ママP”として、子育てもしながら、過酷な仕事をこなしている。テレビ界で女性の時代を象徴する2人に、仕事と子育てについて語り合ってもらった。

 
亀高さん、テレビ東京のバラエティーの印象は?。

亀高:自由にやっている感じは非常に強いですね。

 
工藤さん、フジテレビの番組の印象を教えてください。

工藤:「ホンマでっか!?TV」とかは本当に好きで、見たときにやられたと思いました。本当はテレ東とかにいる者がこういうパターンを思いつかないといけないのにな、と。専門家の方がそれぞれの説を言っていて、うまいこと素人を使っていて、それだけでキャッチーで面白い。企画性がすごい高い。

亀高:ありがとうございます。

テレ東のバラエティーとしては、企画性というか、面白い人を見つけてきてやる?

工藤:それが「ザ・テレ東」って言われますが、たまたまお金とか物理的な問題がそうなっていて、結果そうである、ということだと思う。
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他局の番組を意識しますか?

亀高:見ますけど、意識はしないですね。あまり他局がどうこうという意識を持ってしまうと、独自性がなくなっちゃうので。

工藤:よくテレ東ってこうだよね、って言われますが、テレ東の中でも番組によって全然違いますね。

他局の方との交流は?

亀高:各局のママプロデューサーとは「ママP会」をやったりしています。でも仕事の話はしない。「どう育ててる?」とか全部子供の話。するとしたら上司の悪口くらいで、「フジはまだ恵まれているなー」とかそんな話ですかね(笑い)。

工藤:たまに。打ち合わせのついでに社内見学をしてもらったとか。そんなぐらいですね。

亀高:他局の男の人と飲むと、「次の編成どうなってる」とか言われたら、お酒がおいしくなくなる。各局の男性陣が飲んでいるというと、牽(けん)制し合いながら仕事の話をしていると聞きます。他局で仲のいい男性スタッフもいますが、そういう話は一切しない仲間たちです。プライベートの話をしたり、上司の悪口ぐらいですね(笑い)。

お二人ともママですね。

工藤:亀高さんは中2と小4のお子さんがいるということは、「(1人目と2人目のお子さんの間)何年あける」って考えたのかなって。

亀高:四つですね。大学の学費がちょうど楽になるから(笑い)。たまたまドラマ制作に1年だけ行っていたので今産んじゃおうと思っていたら、1年できなくて、2月の早生まれで年齢は五つ違いますが、ギリギリ4年違いです。

工藤:私は1人目で3歳です。当時、うちの局で、制作では子供がいる女性はいなくて、初のケースでしたので、どう報告しようか悩みながら報告しました。仕事も楽しくて、子供は絶対1人でいいやと思っていたけど、1人産んだら、2人いてもいいかなって思うようになって。みなさんどうしてるんだろうって。

亀高:数年早かったらもう1人生んでいます。3人欲しかったので。もう45歳だから、今からじゃきついぞって旦那と話してあきらめたんですが・・・、どうにかなる!

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お二人とも現場のママPは初めてですが、子育ての苦労は?

亀高:どうにかなるものなんですよね。保育園が午後10時までだったので、迎えに行って会社に連れてきました。旦那が迎えに来るまで編集室にいました。「子供をおぶって編集している女がいるらしい」と噂が流れていたくらい、上の子はずーっと会社にいました。旦那がテレビカメラマンなので、娘はカメラのケーブルを巻くのがすごくうまくなりまして(笑い)。今は後輩も子供がいる人は夜は連れてくることもあり、デスクの周りを子供が走っています。みんながお菓子をくれたり・・・。ありがたいことに上司がOKしてくれましたから。なるべく連れてこないようにはしましたけど、やむを得ずのときはそれを許してもらえているという精神的な支えがあって。最後は大丈夫、となると楽にはなりますよね。

工藤:私も基本保育園で、編集所はまだデビューしていませんが、会社に連れてくることもあります。面倒を見てくれるスタッフにお願いしたり、(「ゴッドタン」など演出の)佐久間(宣行)プロデューサーが「ほら、ジャムおじさんが帽子を取るとアンパンマンの顔だよ」とか言って遊んでいてくれたり。

亀高:そうやって育っていくと、演者さんの楽屋にお弁当を配れるようになるんですよ(笑い)。台車でガラガラガラって。

親が働いている姿を見られるのでいいですよね。

亀高:どうでしょう?私が怒鳴り散らしているのを見てますからね。ママって怖いねーみたいな。

子供はあんまり悪いことしないようにしようって?

亀高:私、子供をあまり怒らないので。そんな姿を見て、気をつけようって思ってるのかな(笑い)。

周りが気を遣ってくれることはありましたか?

工藤:男性には子育てってこういうふうにしないといけないというのを示していかないといけない。子供が保育園に行っているということも分からない人もいて、「1歳過ぎたからもうお迎えとかいらないんだろう」とか言う人もいる。「1歳過ぎても一人で帰れません。当番ですけど迎えは必要だ」って知っていてもらわないといけないし。後輩やスタッフもこういう働き方でいろいろできるんだと見ていただければと思います。テレビ局の子育て事情は一般企業より遅れてますよね。

亀高:うちは逆で、亀高組の男性スタッフはみんなしっかり子育てしています。男性も編集室に子供を連れてきたりしてるんです。子供を育てるっていうことも演出の勉強に絶対なるので。朝帰りでも幼稚園に送りにいく。子育てに関わっていない男の人はいません。「嫁が倒れました」って帰る人もいますよ。家庭を一番大切にしている人の方が演出はしっかりするというのがうちの理論です。

子供ができて変わりましたか。

工藤:ダラダラ仕事をしなくなりましたね。テレビの人は夜遅くまでいるイメージがあるけど、メリハリをつけるようになりました。ニュースの見方が変わって、子供のニュースがよく入ってくるし、今までもそうだけど、悲しいニュースはもっと悲しい気持ちになったりする。そういう問題に目が向くようになった。エッジの効いたことを描くにせよ、本当に強く言った面白さなのか、これを見て傷つく人がいないかなと、より考えるようになったと思います。

亀高:一緒にやっているディレクターから「子供を産むまでは、カミソリみたいな女だった」と言われました。

工藤:私もそれを言われました。ジャックナイフって。

亀高:すごい誰かを切りつけてやるぜ、みたいな。すっごい荒くれ者が、子供を産むことによってこんなに変わるんだって思いました。子供を産んで大きく変わったのが、自分の班を子供のように見て、誰かが傷つけようものなら守るようになったことです。「あんな荒くれ者が会社でもお母さんをやっている」って言われましたね。

工藤:私も丸くなったとか優しくなったと言われる。

男性も結婚で変わりますよ。仕事で偉そうにしていても、家に帰ると一番力がないというのを学ぶので。

亀高:うちで優秀な連中は全員嫁の尻に敷かれています。亭主関白は一人も居ない。我が家はまた違って、旦那さまさまなんです。炊事、洗濯、育児、旦那がしっかりやってくれるので、旦那さまさま。ありがとうございます、おつとめご苦労さまです、って言っています。

工藤:うちは旦那さんは業界が全く別ですが、時間帯も仕事によって融通を利かしてくれたり協力してくれます。そもそも結婚して子供を産むという話をしたときに、産むのは私しかできないのでやります。母しかできないことはやるけど、それ以外のことはそれぞれ働いて稼いでいるんだから、フィフティーフィフティーでやらないと、そういう気持ちじゃないと産めないよって。お迎えも行ってくれるし、家事も気づいたらやってくれている。

亀高:いい旦那を持つことです! 旦那に育ててもらっているって。うちの旦那は世界一!!

工藤:じゃなきゃ無理ですよ!

子育てで心がけていることは何かありますか。

亀高:休みの日はずっと一緒に過ごすことですね。必要以上にコミュニケーションを取っています。先週は平日は1回も子供に会っていない。朝方帰ってちょっと寝ている間に学校に行っちゃうので。ママは疲れてるから起こしちゃだめよって枕元で言っている感じです。3歳はまだ大変ですけど、そうなりますから。

工藤:その日を心待ちに……。先週も公園にピクニック行く約束して。「ママ行くよ」って朝6時半くらいに言われて、早いんですけどって。

亀高さんもお子さんが小さいころは大変だったのでは?

亀高:うちは保育園は夜10時まで預かってくれるところでしたし、結構しっかりしているところで、お箸の持ち方とか全部教えてくれるところだったので助かりました。病気になったから保育園にお迎えに来てくださいの突然の電話は大変でしたけど。

工藤:病気の時はどっちかが出動するしかない。先日も40度くらいの熱が出て、すいませんっていうのは謝りながら、みんなに仕事を振って。支えてくれる人に恵まれていますね。自分一人じゃ何もできない。支えてもらっているから成り立っている。

亀高:うちは子供に「気合いが足りないから病気になる」と言ってます。私は気合いが入っているから風邪を引かないってね(笑い)。

工藤:参考になります。
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アドバイスはありますか。

亀高:あんまり考えないことですかね。自分のことはだいたい対処できるけど、子供のことはいろいろ起きるので、ああどうしようと思ったら負けだなって。どうにかなる。旦那、周りのスタッフもいる。

工藤:妊娠しようかどうか迷っていたとき、深夜の番組をやっていたYOUさんに「子供を産んで後悔したこと一回もない。絶対産んだ方がいい」と言われて、勇気づけられました。

亀高:気の持ちようでなんとでもなる!

番組は一緒に観たりする?

亀高:「ミレニアムズ」は、感想を聞いてます。若い子に見てほしい番組なので、学校でささっているやつ全部教えてくれって。何まねしていた?って(笑い)。

工藤さんはまだ早い?

工藤:子供向けの番組をやっていないので。テレビを作っているというのは分かっていて。妖怪ウォッチははまっています。ギャグとかも覚えてきちゃう。「ダメよ〜、ダメダメ」とか突然やっている。

亀高さんは子供と一緒に楽しんでいる。

亀高:子供に友達を家に連れてこいといってたまり場にして、「それで?それで?」って質問攻めにしています(笑い)。非常に面白いです。PTAの懇親会とか、役員とか全然やらないのですが、進んで出て行って、何に興味あるのか聞いたりしていますね。

工藤:保護者会といってもちょっと集まっているみたいな。そんなにママ友の輪に入りきれていない部分もあるので。何が好きだとかかは参考に。生の声なので。

女性の制作者として、頑張っていく上で大事なものは何かありますか。

亀高:最初に私が上司に言われたのが、人前で泣かないということですかね。最近は男性が泣くんですよ。何度も泣かしています。でも女性が泣くと意味が全然違うんですよ。

工藤:泣いたら一発アウト。女だからと言われる要素を自分で作っちゃうと損するから。何かで優しくしてもらったり、ケアしてもらっても甘んじてはいけない。好意は好意で受け入れるけど、楽しちゃうのはNG。女性だからこそ、スタートダッシュをとにかく頑張った方がいい。子供を産んだときにブランクが出来ちゃうのを考えると、頑張っておいて損はない。(女性だからと特別扱いされることについて)受け入れながら、頑張ればいい。

プロフィル

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 かめたか・みちこ フジテレビ編成制作局バラエティ制作センター、ゼネラルプロデューサー。1993年フジテレビ入社、「ダウンタウンのごっつええ感じ」でADを務め、「SMAP✕SMAP」の総合演出を経て、プロデューサーとなる。現在のチーフプロデュース番組は「ホンマでっか!?TV」「アウト×デラックス」「ミレニアムズ」「前略、月の上から。」「ペケ×ポン」ほか。中学2年生と小学4年生の2児の母でもある。

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 くどう・りさ 2003年に入社後、「ありえへん∞世界」「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」のディレクター、「極嬢ヂカラ」「大竹まことの金曜オトナイト(BSジャパン)」ドラマ「アラサーちゃん 無修正」昼ベルト「昼めし旅~あなたのご飯見せて下さい!」などの演出・プロデューサーを務める。3歳の息子のママとしてたまに“鬼”に変身!?

聞き手・猪狩淳一
文・写真・堀部友里

※この記事は下記メディアに掲載されました。
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